船橋市で社会保険労務士として活躍する髙野さん。彼女の人生は、挫折と再起、そして新たな挑戦の連続でした。今回、髙野さんの波乱万丈な経歴と、ハラスメントのない社会を目指す熱い想いについて伺いました。
挫折を乗り越え、社労士への道を選ぶ
髙野さんの人生は、決して平坦なものではありませんでした。大学卒業後すぐに結婚し、わずか1年で離婚。その後、新卒で入社した会社も8ヶ月で退職するという経験をしました。
「自分が人事だったら、ちょっと採用しないかもな」と当時を振り返る髙野さん。しかし、この挫折が彼女の人生を大きく変える転機となりました。
「経済的に自立するためには、どうしよう」と考えたとき、髙野さんの頭に浮かんだのが社会保険労務士という資格でした。「ライフワークバランスを取りながら働けたらいいな」という思いから、社労士の資格取得を目指すことにしたのです。
しかし、この道のりも決して簡単ではありませんでした。1回目の試験で不合格となり、その後も仕事や家事、育児と両立しながらの勉強は困難を極めました。「参考書を買って、隙間時間で勉強してた」と髙野さんは当時を振り返ります。
そして、ついに6回目の挑戦で合格。「試験を受けてるときに、自分がもうこれ合格したなってわかる」と髙野さんは語ります。この経験は、彼女に大きな自信をもたらしました。
ハラスメントとの出会いが変えた人生
社労士として活動を始めた髙野さんですが、彼女の人生をさらに大きく変えることになったのは、アンガーマネジメントとの出会いでした。
「私、短気なんです」と率直に語る髙野さん。子育て中、仕事のストレスから子供に手を上げそうになったことがきっかけで、アンガーマネジメントを学び始めました。
「このままいくと、多分私は大切なものを自分の手で壊してしまうかもしれない」。この危機感が、髙野さんをアンガーマネジメントの世界へと導いたのです。
しかし、髙野さんのハラスメントへの関心は、もっと以前に遡ります。学生の時、アルバイト先のファストフード店でパワハラを経験したのです。
「みんなから無視をされるっていうことをレジ前でやられた」と髙野さんは当時を振り返ります。この経験が、「働くんだったら楽しく働きたい」という強い思いにつながりました。
船橋からハラスメントゼロ社会を目指して
現在、髙野さんは社労士業務とアンガーマネジメントの両方を手がけています。「ハラスメントがないような職場ってこんな感じですよね」と、企業にアドバイスをする日々です。
そんな髙野さんの夢は、「生涯かけてハラスメントゼロの社会を作る」こと。そして、その発信地として選んだのが、生まれ育った船橋市でした。
「船橋の社会からハラスメントゼロがどんどんどんどん広がっていけばいいな」と髙野さんは語ります。しかし、その道のりは決して簡単ではありません。
ハラスメントのない社会とは、髙野さんによれば「嫌いな人とでも、建設的な意見交換ができる」社会。「お互いのことが嫌いでも建設的な会話がちゃんと仕事の時間中はできる」ような環境を目指しています。
この目標に向けて、髙野さんは新たな挑戦を始めています。人事コンサルティング会社を立ち上げ、経営者や管理職向けの講座を開設する計画です。
「経営者が、まずはその経営者としてのあり方みたいなのが、尊敬できるというか、問われているのかな」と髙野さんは考えます。トップの姿勢が変われば、組織全体が変わる。その信念のもと、髙野さんは日々奮闘しています。
髙野さんは若い世代にも、アンガーマネジメントの重要性を説きます。「自分の感情をコントロールした上で、どうやったら適切にこの人と会話ができるっていうのを若いうちから学んでほしい」と語ります。
最後に、髙野さんは次のようなメッセージを残しました。「本人がそう幸せだな、楽しいなって思うのが、一番いい。多分漫然と生活をするんじゃなくて、いろいろなことをより明確に言語化をする。その上で、動く、考えるのが大事なのかな」
船橋市から始まる、ハラスメントゼロ社会への挑戦。髙野さんの奮闘は、まだ始まったばかりです。彼女の挑戦が、どのような形で実を結ぶのか。これからの展開が楽しみです。
文・師田賢人