幾度もの挫折を経験しながら、諦めない心を育んできた都築さん。東日本大震災での被災、センター試験直前の祖母との死別など、逆境に直面しつつも、常に前を向いて歩み続けてきた。大学入学後は2020年東京オリンピックという大舞台に魅せられ、学生団体「おりがみ」を設立。コロナ禍でも諦めることなく、新たなプロジェクトに挑戦し続ける若きリーダーの姿がそこにある。
逆境を乗り越え、自分と向き合う勇気
都築さんの人生は、挫折と再起の連続だった。小学生の頃はリレーのアンカーに選ばれるなど、「運動ができる自分」が当たり前であった都築さんは、中学入学後、徐々に周りに追い抜かれていく経験をする。「当時は早熟だったんです。それがどんどん追い抜かれていく。自分の居場所がなくなっていく感覚がありました」と都築さんは振り返る。
しかし、この経験が後の人生に大きな影響を与えることになる。「部活や受験勉強を通じて、諦めないことの大切さを学びました」と都築さんは語る。特に高校受験時の経験は印象的だ。東日本大震災で被災し、経済的な理由から進学が危ぶまれる中、保険金で受験の機会を得た。「この機会を生かさないといけないという使命感がありました」
そして大学受験。センター試験直前におばあちゃんを亡くすという辛い経験をしながらも、「この努力と悲しみは何だったんだろう」という思いから、浪人を決意。1日10時間以上の猛勉強を365日続け、志望校合格を勝ち取った。
オリンピックへの夢が導いた、NPO法人おりがみの誕生
大学入学後、都築さんは新たな挑戦の場を求めていた。そこで目をつけたのが2020年東京オリンピックだった。「オリンピックという舞台は、日本中世界中の文化が流れ込んでくる時代の転換点。そこに自分の身を投じたら、何かいいことがあるんじゃないかと思ったんです」
この思いから、20歳の誕生日に学生団体「おりがみ(後のNPO法人おりがみ)」を設立。オリンピック・パラリンピックに向けたボランティア活動を開始した。しかし、道のりは平坦ではなかった。「最初は自己中心的で、誰かが思うように動いてくれないと機嫌を悪くしたりしました」と都築さんは当時を振り返る。
活動を通じて、人と向き合うことの大切さや、夢を語る方法を学んでいった。「諦めない覚悟を固めたら引かない。これがみんなの信頼を担保してくれました」とその成長を語る。
コロナ禍での挑戦:ボランティアの新たな可能性
2020年、新型コロナウイルスの影響でオリンピックが延期となり、多くのメンバーが離れていった。しかし、都築さんは諦めなかった。「コロナという現状に対してポジティブに向き合っていかなくてはいけない」という思いから、「Earth Light Project」を立ち上げた。
このプロジェクトでは、30団体279名の学生たちと協力し、人工衛星を打ち上げるという大きな挑戦に取り組んだ。「コロナの中で大学生活が台無しになってしまうかもしれないという中で、みんなで一つの夢を追いかけよう」という思いが原動力となった。
都築さんは語る。「プロジェクトで一番大事にすることは、ハッピーエンドにすることです。自分の中で、こうすれば笑顔で終われると思える落としどころを絶対見つけること。それをしっかりと実現していくことが重要です」
若者へのメッセージ:自分の物語を創造する勇気を
NPO法人おりがみの活動を通じて、都築さんはボランティアの本質的な価値を見出した。「ボランティアは、自分の可能性を探求していく場所です。社会の中での自分の役割を見つけ、それを最大限に発揮していく。そんなライフスタイルのあり方を提案したいんです」
特に若い世代に向けて、都築さんは熱いメッセージを送る。「まずやってみようということ。面白そうだと思ったものに飛び込んでみる。そして、それを中途半端にせず、本気で向き合ってみることが大切です」
そして、失敗を恐れないことの重要性も強調する。「失敗と向き合える環境が大切です。自分は価値がある人間だと認めてくれる他者がいる中で、自分と向き合うことが重要です」
最後に都築さんは、若者たちにこう語りかける。「自分のやってきたことに、いつか意味を見出せるようになる。だから大丈夫です。自分がこれをやっていてよかったなと思えるような、ロマンを見つけてください。そして、自分の人生をハッピーエンドに導けるよう、常に努力し続けてください」
都築さんの言葉は、挫折や困難に直面している若者たちに、希望と勇気を与えるものだ。ボランティア活動を通じて自己を見つめ直し、社会との新たな関わり方を模索する。それは、まさに自分自身の物語を創造していく過程なのかもしれない。