言葉の向こうに、その人がいる。

interview

時間を味方につけて挑む市民ランナーの戦略

市民ランナーにとって、マラソンは単なるスポーツではなく、自分自身への挑戦です。
挑戦を続けることで得られるのは、目標を達成する喜びだけでなく、困難を乗り越えた自分への誇りです。
今回は、そんな目標に挑み続ける一人の市民ランナー・黒澤さんが、どのようにして限界を超えようとしているのか、その熱い思いに迫りました。

挑戦の幕開け――マラソンとの運命的な出会い

――黒澤さんは、2022年と2024年のちばアクアラインマラソン大会に出場されましたね。そもそもマラソンを始めようと思ったきっかけを教えてください。

黒澤氏:どちらの大会も仕事の上司に誘われたのがきっかけなんです。2022年のときは、42.195km完走を目標にしてたんですけど、30km地点で足がつってしまって。途中歩いたりしながら何とかゴールはしたものの、自分の中では「完走した」という気持ちにはなれなかったんです。

そこで2024年は「完走」を目標に、計画的に練習を積んでいこうと思いました。ただ、完走を目標とするだけではモチベーションが続かないので、明確な目標を設定することにしたんです。

 限界を超えろ――サブ3への覚悟と進化

――どんな目標ですか?

黒澤氏:「サブ3(スリー)を目指す」です。サブ3は、42.195kmを3時間以内で走ることをいいます。ただ、男性のフルマラソン完走者でも3.4%しか達成できないともいわれています。サブ3を達成するのは、市民ランナーの憧れでもあるんですよね。

――なるほど。サブ3を目指すにあたって、2022年と2024年の練習メニューでは、どのように改善したのですか?

黒澤氏:2022年の時は、月に3、4回くらいしか走っていなかったんです。ちょっとずつでも走っていれば何とかなるかな? という気持ちだったんですよね。

ですので、2024年はちゃんと計画を立てて練習しようと思いました。そのためには、いきなり走り始めずに、どういう練習をすればいいのか? というのをリサーチしました。

――練習方法はどのようにリサーチされたんですか?

黒澤氏:携帯で検索できる程度のものですけど、サブ3を達成する方法を書いてある記事や動画を参考にしました。

ただ、どの情報でもサブ3を目指すなら、少ない練習回数では達成できないと書いてあったんですよね。月間走行距離何km、みたいに距離にこだわってもよかったのですが、仕事をしながらだとそこまで時間を割くことが、正直難しいなと感じました。

――お仕事をしながらですと、練習回数も限られてきますよね。そんな中で実践された具体的な練習方法を教えてください。

黒澤氏:僕が実践した方法は、走った「距離」ではなく「時間」に焦点を置いたものです。具体的には、1回50分の練習時間を週4日行います。これなら「できる」と思ったんですよね。

平日2日と、仕事休みの土日を充てれば、仕事をしながらでも無理なく効率よく練習ができるな、と。

 勝利への武器――パフォーマンスを引き出すアイテムたち

――練習を効率よく行うことに重点を置かれた印象ですが、おすすめのアイテムなどがあれば教えてください。

黒澤氏:ランニングウォッチですね。最初はスマホのランニングアプリで計測していました。でもそれだと、走ったトータルの時間と距離しかわからないんですよ。

一方、ランニングウォッチだと今のペースから、完走するまでの時間が表示されるので、自分のペースを客観的に把握でき、おすすめです。

それとイヤホンもあるといいです。ランニングウォッチと連動しているので、ペースの把握が耳でできるから便利です。もちろん音楽やラジオも聴けるので、長い時間走るときには、気が紛れます。無音だと辛いだけになっちゃいますからね。

あと、靴にはちょっとお金をかけました。マラソンは体を酷使するので、怪我のリスクもあります。それを最小限にするためにも靴選びは大事です。気軽にジョギングしたいスピードを強化して走りたいとか、目的に応じて選ぶといいと思います。ランニングシューズのメーカー(NIKEやadidasなど)のホームページや店頭にも資料がたくさんあります。

――マラソンの練習を通じて、メンタル面に変化はありましたか?

黒澤氏:正直、マラソンを始めたことがメンタルにいい影響があると感じたことはないです。ただ、記録が徐々に縮んでいくのがわかると、成長を感じられて嬉しいというのはあります。逆に、なかなか記録が伸びなかったとしても「ここはきっと踏ん張りどころなんだろうな」というのをわかって取り組めるので、落ち込むこともありませんでした。

――冷静に分析しながら練習を積んでいらしたんですね。やめたいなとか、やりたくないなという気持ちになることもほとんど無かったんですか?

黒澤氏:やめたいなっていうのはなかったですね。ただ雨の日は別な曜日に変えていました。

前日ちょっと夜遅かったり、家族との予定や行事もあったりするので、計画通りいかないのも重々承知の上で始めていますから。

とにかく焦らない、完璧を追い求めない。1〜2週間の中でトータルとして、うまくいけばいいと考えていましたね。11月の大会に向けて練習を始めたのが同年の4月からだったので、時間的な余裕もありましたし。

 栄光への足音――結果の先に見えた次なる目標

――大会の結果は3時間44秒ということでしたが、その結果はどのように受け止めましたか?

黒澤氏:やってきたトレーニング方法が大筋で間違ってはいなかったと確認でき、ポジティブに受け止めました。目標を達成できなくても、不思議とマイナスな気持ちにはなりませんでした。

2時間50分を目指す練習方法ならサブ3を達成できたかもとか、フラットなコースなら違った結果だったのかもというように、今後のための分析をしていましたね。

結局、マラソンの難しいところは、本番でしか答え合わせができないということです。短距離走だったら一日に何回か走って、フォームなども修正できるのでしょうが、マラソンの場合は、42.195km を毎日走れないですからね。

――最後に、これからマラソンを始める人へのアドバイスをお願いします。

黒澤氏:自分の状態を客観的に把握することです。マラソンをしている方の中には、「今月何km走った」と言う方もいるのですが、必要なのは何kmを「何分で」走ったかだと思うんです。そこまで落とし込めた方が良いです。

あとは、闇雲に走るのではなくて、自分に合うランニングスタイルを実践している人を探しましょう。僕はYouTubeで検索して、その人の練習メニューを分析して実践しました。

――ありがとうございました。次回こそは「サブ3」を達成してくださいね!

黒澤氏:ありがとうございます。年齢的にも次の大会で達成したいところです!
インタビューを終えた黒澤さんの目は、すでに次の挑戦を見据えていました。
「次の大会でサブ3を達成したい」という言葉から、揺るぎない覚悟と挑戦への情熱が感じられます。
本番までの日々は、再び自分との戦いが続くでしょう。しかし、黒澤さんならば、次のゴールラインを超えていくに違いないと感じました。

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